剣の乙女ピンボール

プロジェクトマネジメント・ナレッジマネジメント・組織づくりについてコパイロツトが
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    語学留学、研究留学?博士課程で始めるプロマネ留学!

    突然ですが、皆さんにとってインターンとは何を意味するでしょうか? 一般的には、仕事の体験や就職活動の足掛かり、技術の習得や実務能力の習熟などが目的となるでしょうか。

    私にとって、コパイロツトでのインターン活動は、さながら1年間の濃厚な留学のようでした。私は修士課程の時代に半年間実際に異国での留学を経験しているからこそ、あえてそのように言いたいと思います。

    というのも、このインターン活動を通して学んだことは、単なる知識の吸収や小手先のテクニックではなく、むしろ、さまざまな人たちと交流し有機的で持続的な関係の網の目を築き上げていくことだったと思えるからです。

    自己紹介をしましょう。私は、筑波大学でフランス哲学を研究している博士課程の大学院生、印部仁博(いんべまさひろ)です。この度、2022年11月から2023年8月まで、株式会社コパイロツトでインターンシップの活動をしました。この記事は、私の濃厚な留学の日々についてのリアルな報告と、経験に基づいた振り返りです。

    ところで、文系博士課程の学生がとる進路は実に多様で、モデルといったものを見出すことは実に困難です。なのでこの記事では、文系博士課程の大学院生たちの進路の足掛かりとなるようなものを目指しています。こんな活動をしている大学院生がいたのか! と思っていただければ幸いです。

    そこでまずコパイロツトとの偶然的な出会いの経緯について紹介し、次にインターン活動を通しておこなってきた多様な業務を振り返ります。最後に、これまでの活動を振り返って得られたものとプロジェクトという概念について考えたことを書いていければと思います。

    共同創業者の定金さんとの出会いからインターン開始まで

    コパイロツトとの出会いは、筑波大学が主催するPh.D×Future*1というサービスでした。これは博士課程の学生と企業のインターン活動や就職を支援するマッチングサービスです。名前を登録した当時の私は、まだ興味のある業界ややりたいことをはっきりとは自覚しておらず、ざっくりといろいろな企業の募集を眺めていましたが、そのなかでコパイロツトを見つけ、興味をもちました。

    というのも、コパイロツトの業務内容はわかるようでわからない部分が多く、考えるほどにどのようにプロジェクト推進を実現しているのかがとても気になるからです。

    たしかにコパイロツトの主な業務はプロジェクトの支援であり、Wantedlyをみる限りでは、クライアントにしっかり寄り添ってゴリゴリとプロジェクトを推進する、「プロジェクトマネージャー」集団であるということはわかります。

    しかし他方で公式サイト*2をみてみると、まず「プロジェクトってむずかしい」という文言に導かれて、「目の前にあるプロジェクトを捉え直すことから」はじめて、コパイロツトが「共に汗をかきながら」プロジェクトの伴走をおこなってくれるのだと説明されます。しかしこの言葉の意味は一読では難しく、さまざまな疑問がわいてきます。プロジェクトを推進するとは、つまるところ何でしょうか?なぜプロジェクトで成果をだす支援ではなく、プロジェクト推進という言い方を敢えてしているのでしょうか。プロジェクトにはさまざまな形や目的があると書いているのに、それらをマネジメントするとはどいういうことでしょうか?プロジェクトそのものの捉えなおしから始めるそれは、「マネジメント」とはいいつつも、もはや「管理」とか「舵取り」という次元の話ではないのではないか?そうこう考えていると、最後には「プロジェクトとは何か?」という問題にぶつかります。結局、私がこの問いかけに気づいたときには、すっかりコパイロツトの業務内容に興味が向くようになってしまいました。これが最初のきっかけです。

    思えば、研究活動は一次文献の調査や二次文献の整理、発表や論文の提出といったさまざまな活動の複合体であり、学生であればさらに授業や大学での仕事、アルバイト、TA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)といった学内業務を抱えることもしばしばです。見通しの見えない問いのなかで自分なりの答えを探求しながら、複数のあらゆる業務をこなし続けるこの生活こそ、まさにプロジェクトのマネジメントそのものだと気づき、実生活での実践とも結びつくことがわかりました。

    いろいろ考えるよりもひとまず話を聞いてみようとお声をかけさせていただいたのをきっかけに、コパイロツトの共同創業者の定金さんと「プロジェクトって何だろう」という話で盛り上がり、気づいたらインターン生として活動させていただく運びとなりました。

    インターン活動を通して

    私の主な活動は、コパイロツトでプロジェクト研究を行っている八木さんのもとで、Zipadee*3開発、Co-Parkを中心に、「朝活」としてプロジェクトについての議論を毎週続けてきたことです。八木さんは社会学を研究するために大学院にも所属されおり、研究活動についてのお話を共有できる心強い学友ともなりました。

    それぞれ私の参加していたプロジェクトは独特の特徴をもっていましたが、共通点は、どれも構想期から立ち上がりつつあるまだ不定形で複雑なプロジェクトということでした。黎明期はプロジェクト自身の目的や全体感がみえていないため、少し進めてはまた立ち戻って議論をする、という行きつ戻りつのプロセスを何度も繰り返しながら全員でプロジェクトを組み立てていったことが強く印象に残っています。

    各プロジェクトのなかで私がおこなっていた役割は、たとえば次の通りです。

    (例)

    • 定例ミーティングに参加し、議事録を取る。
    • ミーティングで話の流れが理解できるようになったら、議論に参加する。
    • 議論に参加した上で、発生したタスクを行う。
    • 「朝活」で八木さんと議論する。一緒に論文を輪読する。

    基本的にはリモートワークですが、状況や必要に応じて柔軟に対面でのオンボーディングや議論を組み合わせて有効活用していたのが面白かったです。また、朝活では八木さんとプロジェクトについての議論を進めながら、領域横断的な学習探求ができたのが非常に刺激的でした。

    俯瞰してみれば、コパイロツトはさまざまな活動をしていますが、あえて一言でいうなら、プロジェクトマネージャーの専門家集団だと言えます。それぞれがプロジェクトの推進に真摯に向き合っており、新人の自分もすぐに対等な立場で議論に参加させていただきました。もちろん、わからない部分はサポートしていただきながらですが、自分自身は、気になったことは声を上げてちゃんと話し合う、という文化にすぐに馴染むことができました。

    また、コパイロツトは会議を中心にプロジェクトを行う方法論を打ち出していることが特色の一つです。メンバーのみなさんは常に複数のプロジェクトのさまざまな会議を同時並行で抱えていますが、会議はほとんどが時間通りで、議題が論理的かつスピーディーに進捗することで、ストレスを最小化して効率よく議論をおこないます。また、何かトラブルがあった際にも、メンバー全員がそれぞれ自身の持ち味を生かしながら何とかするという力をもっているようにも感じられました。

    加えて、コパイロツトにはメンター制度があり、既定の時間を個人的な学習の枠に割り当てることができるようです。この制度を通して、私は何度か社内の方と哲学や哲学史についてのお話をさせていただきました。こうした多様性や自由闊達な好奇心の拡張を許す風潮が、プロジェクトを柔軟かつ迅速に進めるための土壌を作っているのではないかと思いました。

    結局、プロジェクトとは何だったのか

    さて、話は大きく変わりますが、結局、プロジェクトとは何でしょうか。コパイロツトに興味をもってからこの一年足らずの期間で、常にこの問いを抱えてきました。

    私は定金さんとの初回面談で、プロジェクトとはpro-jectと分解される語彙であり、「前へと-投げる」活動であると定義しました。すなわち、概してサルトルやハイデガーがprojet/Entwurfという概念によって、主体の実存が既に世界へと投げ出されており、自己を超え出る未来への可能性の投げかけであると考えていたといわれるように、プロジェクトとはたゆまざる前進のなかにあり続け、無限の見えない地平線を更新し続ける活動を指しているものではないかと考えていました。依然として、これは一つの答え方ではあると思います。しかし、プロジェクトが「進む」とか「推進する」とか表現するときに、私たちは本当に「前進する」運動としてのプロジェクトに身を置いているのでしょうか。

    私はコパイロツト社内のプロジェクトに複数参画するなかで、プロジェクトにおける別の運動を経験してきたように思いました。たとえばZipadeeにおける複線的で何度も出発点に立ち戻るような議論は代表例です。このプロジェクトは、ツールを触りユーザーのフィードバックを受けつつも、結局自分たちは何がしたいのか?と繰り返し自問自答を繰り返しながら行きつ戻りつ進む形を取っており、決まったレールの上で順調にプロジェクトが進むことはあまりありませんでした。

    このように、プロジェクトの運動とは、リニアな仕方でプログレッシブに前進するというよりも、ある意味では同じ場所を円環上に回り続けるような循環的な運動であって、その繰り返しのなかに未だかつて見出されていなかった意味の到来を見るための集団的な活動なのではないでしょうか。

    以上から、今の私は、プロジェクトとは世界という布地の皺や襞を総体として指示せんとする反復的な運動であると考えています。ウォーターフォールやアジャイル。それ以外にもさまざまなプロジェクトの進め方がすでに世の中にはあります。しかし、問いを繰り返して循環を作り出すことで、プロジェクト全体の境界がおのずと変容し、未知のプロジェクトそのものへと変容することになる、この総体をプロジェクトと捉えて進めていくような考え方はそれらのなかのどれにあたるでしょうか。

    自己変容する襞の総体とその範囲を画定しようと繰り返す試みこそが、プロジェクトを反省した先にある、いまだプロジェクトとして反省されざる何ものかを見出しうるプロジェクト推進の在り方であるということはできないでしょうか。これこそがプロジェクトにおける運動性ではないでしょうか。

    終わりに

    インターン活動では多くのことを学びました。たとえば、時間や予算、タスクの管理や調整といった基本的なプロジェクトマネジメントのスキルは非常に汎用性が高く、研究活動のみならず日々の円滑な生活にも不可欠な考え方です。また、私はインターンでのプロジェクトを通して、複数のメンバーにわかりやすくかつ短時間で考えを伝えたり、目的に応じて話の粒度を変えたり話し方を工夫することで、授業や学生との交流での、議論の構築力も向上したと思っています。

    しかし、それ以上に、コパイロツト社内や社外の方々との交流を通して、安心感をもって楽しく挑戦することができるということの重要性を理解したと思っています。この二つの両立は、メンバーのたゆまぬ努力と制度設計の結果もたらされる果実ですが、こうした考え方があらゆる分野やシーンで広がり活用されていくことを願うようにもなりました。

    こうした視座と関係性をもち、世界の再分節化を楽しむことができるようになったことこそが、今回のインターンシップにおける最大の成果だといえるかもしれません。

    この記事が、今後民間企業へのインターンシップを考えている大学(院)生や、狭義の意味での専門性に囚われず、アカデミアとは違った関心を見つけたり開拓したいと考えている博士課程の学生の助けになることを切に願っています。また、大学院への進学を迷っている学生や社会人の判断材料の一つとしても参考になれれば幸いです。

    少なくとも私は、博士課程修了後の進路を悩んでいた時期にコパイロツトのインターン活動を通じて、学生と仕事を両立したり、副業を掛け持ちしたり、時間や場所に縛られず自身の意志に則って仕事をする方々がいることを知り、さまざまな働き方やプロジェクトへの向き合い方を体験することができたおかげで、人生の進路を柔軟にリラックスして捉えられるようになりました。実際にそうした多様な環境のなかで一緒に仕事をして、何らかの成果を生み出せたと思えることは、研究やその他の活動の励みにもなっています。

    少しでも興味があったり迷うことがあるならば、まずは周りに相談したり(相談できる環境がなければ環境づくりから!)、手を動かしてみるといいかもしれません。たしかに最初はうまくいかないかもしれません。しかし、自身を取り巻く環境のなかで小さくてもいいから活動してみることこそ、まさに上述した、自己変容のプロセス=プロジェクトの運動性であるとは言えないでしょうか。

    ひとつだけ言えるのは、どんなプロジェクトも、まずは一歩を踏み出さなければ何の結果も得られないということ (株式会社コパイロツト公式サイトより)



    執筆者 印部仁博(いんべ・まさひろ)
    博士課程の大学院生(2023年8月時点でD3)。専門分野は20世紀のフランス哲学、現象学。COPILOTではインターン生として、プロダクト開発(Zipadee)やCo-Park(DIVE-in JOURNEY)、プロジェクト推進研究に携わりました。

    コパイロツトは、課題整理や戦略立案から参画し、プロジェクトの推進支援をいたします。お気軽にお問い合わせください!

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